売上アップ特化型コンサルタント

どことなく憂いを帯びた顔つきの奥さんとお子さん。



奥さんは歳の頃３０代半ば位。お子さんは小学生くらいなのかな？



この親子のラーメンを食べている姿が、なんとなく気になっていたスタッフさん達でした。



『ちょっと普通のお客さまではないな』



店舗で仕事していた社長の奥様はその空気を察知しました。



何か、思いつめたような、普通の雰囲気ではなかったそうです。



あまりにも気になったので、こう尋ねます。



『当店のラーメンに何かお気になられる事、ございますか？』



その奥さんは思いつめた顔をあげ、こう話し始めたのです。



『このラーメンを、主人の病院で作って頂けないでしょうか？』



唐突にこう切り出されたら、いったい何のことか？と思いますよね。



ビックリしながら『何があったんですか？』と尋ねると、奥さんはちょっとづつ話し始めました。



『実は、私の夫は末期のがんなんです。今、とある病院の終末期医療施設に入院しています。



その夫が元気なころ、よくこのお店で、このラーメンを注文していました。私たち親子で食事に来ていたんですよ。



いつも夫が他のラーメンには目もくれず、おいしそうに食べるその顔が忘れられなくて。



ある時、検診でがんが見つかって。この時すでに治療出来ない位になってしまっていました。



今はもう、終末期で死を待つしかなく、この何週間じゃないか、と言われています。



その夫がしきりに言うんです。『ああ、あのラーメン、最後にもう一度食べたいなぁ…』



このラーメン、最後に夫に食べさせてあげたいんです！



でも、ここまで出かける体力もなく、歩くのも困難な状況なんです・・・



今日お伺いしたのは、無理を承知でお願いに参りました。



是非、夫のためにこちらのラーメンを作って頂けないでしょうか！？』



社長の奥様は考えます。



『そりゃ気持ちでは何とかしてあげたいんだけどなぁ…うちのもけがしているし、そもそも、病院で作るって言っても、出来るんだろうか？』



そう考えつつ・・・



『そういう事情なら、今、社長と相談してみますね。』すぐに電話を掛けます



社長がその話を一通り聞いた所で、電話を代わってくれ、と言いました。



社長は電話口の奥様に向かってこう言ったそうです。



『うちのラーメンは過去一度も外で作った事がありません。でも、事情が事情なだけに、喜んでお伺いしておつくりさせて頂きます！



最後にうちのラーメンを食べたいっておっしゃって下さるなんて、とてもうれしいじゃないですか！



機材は何とかします。是非お伺いします！』



奥さんは電話口でありがとうございます、としきりに頭を下げます。



そして、こういいました。



『出張料金はお支払させて頂きます。おいくらですか？』



社長は即答しました。



『奥さん、出張料金なんて要りません。一杯分のお値段で十分です。ご主人の最後の願い、私がかなえさせて頂きます！』



奥さんは電話口で大粒の涙を流していたそうです。



そして、当日。



社長は寸胴や鍋、ラーメンを作る機材一式を準備して病院に向かい、最高の一杯を作ったそうです。





このお話、実はここまでではないんです。



この出来事があってからというもの、そのお店のスタッフさん達の働き具合に変化があったんです。



何かって？



接客がさらにステキになったんです。



私もお話を聴いているうちに、社長がこんな事を言い出しました。



『今回の事で、オレはひとつ気が付いたんだよ。



オレ達は毎日来る日も来る日も同じラーメンを作り続けているんだけど、食べる方にとっては、毎回一期一会なんだよね。



これがひょっとすると最後のラーメンになるかも知れないし、この一杯で幸せになるかどうかの瀬戸際かも知れない。



そう考えると、毎日の作業や仕事が、とても重要な意味を持っているんだってな。



これをスタッフと話したらさ、全員、毎日の仕事の大切さを本気で考える様になってくれたんだよ。



オレも、早く体調整えて、もっとみんなを幸せにするラーメンを作るから、吉見さんこれからもよろしくな！！』





一人のお客様の想いを何とかしてかなえたいと言うお店の情熱。



夫を思う妻の愛。



それが、このお店の存在する意味と価値、使命を再度確認させて頂く機会を頂戴したのです。



次の世界に旅立たれようとしている命が、このお店に新しい魂を吹き込んで下さった。



アツい想いのリレーションが、今ここで起こったのです。






人は、感動するか挫折するかして、成長すると言われます。



どんなお店も、どんな会社も、こういうストーリーって一つ位あると思うんです。



私は、これから、実際に起こった奇跡みたいなｽﾃｷなお話を紡いでいこうと思います。



飲食店だろうが、小売店だろうが、サービス店だろうが関係なく、きっと素晴らしいストーリーがある。



その、ステキな素晴らしいストーリーを伝える事によって、店舗ｽﾀｯﾌさん達が元気になってくれたら。



情熱を持って仕事してくれたら・・・



コンサルタントとしての私の使命ではないか、そう思っています。